Extra 0_4. 電気の特性

「物理は物の性質や特性によって、その物の名称がかわる

量子は全く同じ陽子と電子の数によって原子の名称がかわる

これら世界はお互いを理解できないが、唯一つ理解できていることは

これが真実だという事だ」

〜 クプ・ド・ンドブヴァ 〜

お客様、こんばんは。

バー・Cat10のマスターです。

本日のお通しは「電気の特性について」です。

本編では「電流」やら「電気」やら「電圧」なんて言葉が無造作に出てきますが、ここら辺でそれらの違いについてしっかり説明しておきます。

 

そもそも「電気」とは何か、考えた事はございますか?

電気は、「」ではなく「現象」です。

電気があるかないか」ではなく、「電気が発生しているか発生していないか」が正しいかもしれません。

では、まず「電気の正体」について少し見てみましょう。

 

世の中の物質はすべて「原子」という小さな粒子で構成されています。

原子には「原子核」と「電子」で構成されており、さらに原子核は「陽子」と「中性子」によって構成されています。

[pic_ext0_4_1 原子の構成要素]

 

通常、原子核の周りにある電子は、原子核内の陽子と数が一致しています。

それは、この陽子と電子がお互いをひきつけあうという特別な関係にあるからです。

 

これらの関係を分かりやすく表現するため、陽子は「正電荷(プラス)」、電子は「負電荷(マイナス)」と一般的に言います。

これら二つは異電荷のものはお互いをひきつけあう他に、同電荷のものはお互いを引き離す特性も持っています。

原子核を構成するもう一つの中性子はプラスもマイナスも帯びておらず、陽子の沢山詰まった原子核を安定させるために存在するものと言われています。

 

先程、「陽子と電子の数は一致している」と言いました。

これはプラスとマイナスの数が一致しているので原子は安定している状態です。

ただ、ある外的要因などによりこれらのバランスが崩れてしまった場合、どうなるでしょう。

 

電子が原子の外へ飛び出してしまい、陽子が多くなった場合、それは「陽イオン(プラスイオン)」となり、逆に電子が原子に沢山入り込んで電子が多くなった場合は「陰イオン(マイナスイオン)」になります。

[pic_ext0_4_2 陽イオンと陰イオン]

 

飛び出した電子は「自由電子」といわれ、どこかプラスを帯びた原子へ流れ込もうとします。この流れを「電流」というんですね。

ちなみに原子核内の陽子は金属物質など結晶が固定化された導体内では移動する事がありません。移動するのはいつも電子です。

 

つまり、金属などの導体内では自由電子が正電荷を帯びた原子に向かっていく事から、「マイナス→プラスへ電子は移動する」事になります。

ここで疑問に思った人がいる人は中学のとき、よく勉強していた人ですね。

電流は「プラス→マイナス」へ流れるものと勉強したはずです。

 

しかし、この電子の動きの発見より前に電流はプラスからマイナスへ流れるという定説があり、それらの変更の困難さから鑑みて現在でも、電気工学では電流は「プラスからマイナスへ流れる」というものとしています。

 

電流はマイナス電荷とプラス電荷といった「電位差(プラスとマイナスの数の違い)」があるから発生するのであり、この電位差が多ければ多いだけ電気量が多いとされます。

この電位差は一般的に「電圧」といわれます。電圧が大きければ(つまり、電位差が多ければ)、それだけ電流の流れる勢いは高くなります。

電流をアンペア(A)、電圧をボルト(V)、これら二つを掛け合わせる事で求められる電力をワット(W)といいますね。

 

では、コンピュータの側面からこの電気についてみていきましょう。

コンピュータは電化製品なので、電気を供給する「電源」が必要になります。

さて、身近にある電源とは一体どのようなものがあるでしょうか。

 

一番先に思い浮かべるのは壁についてる「コンセント」でしょうか。コンセントは道の両端に立っている電柱の電線などから供給されてますね。

他にも「乾電池」を思い浮かべる人もいるでしょう。

どちらも電源には違いないのですが、決定的に違うものがあります。

 

それは「直流」か「交流」かの違いです。英語でいうと直流は「Direct Current(DC)」で、交流は「AlternatingCurrent(AC)」といいます。

乾電池は直流で、コンセントは交流になります。

直流と交流の違いは何か、それぞれの電圧の変化についてオシロスコープを使ってグラフ化してみると下の図のようになります。

[pic_ext0_4_3 直流と交流]

 

直流は電圧が常に安定していますが、交流は電圧が「ある一定周期(周波数)に伴って変化」します。

電圧が変化するという事は、当然電流の向きも逆転します。

どうしてこの様な違いがあるんでしょうか。

 

それは電気の発生方法が違うためです。

電池は電位差の異なる電極(プラスとマイナス)が両端にある事で自由電子の移動により電気が発生するものですが、発電機等ではモーター(磁石による)による「電磁誘導」現象で電気を発生させているからです。

電磁誘導は磁石を回転させることで発生するもので、S極N極の反転による電圧も反転してしまいます。常に同じ方向に磁石を動かすことで直流にする事は出来ますが、現実的に不可能です。

 

さて、話を戻しましょう。

コンピュータは先程述べたとおり電源が必要になります。ですが直流電源と交流電源のどちらを使っても問題ないか・・・?といったらそういうわけにはいけません。

コンピュータは直流電源を必要とします。乾電池は直流ですが電力が足りません。

コンセントからとれば電力は問題ありませんが、交流のため使えません。

 

その為、コンピュータはコンセントからの交流電源を直流電源に変換する「電源装置」を使います。

コンピュータ内部を空けるとファンの付いた四角い箱をしたものがありますが、それが電源装置になります。

ノートパソコンなどの場合も「アダプター」によって変換されます。

 

これら電源装置やアダプターによって、コンピュータ内部は直流電気で動作しているんですね。

ちなみにこれら電源装置やアダプターは大量の熱を放出するので熱々です。触るときは気をつけましょう。

 

今日のポイント

 ・電気とは電子の移動(自由電子)によって発生する現象である

 ・電気には直流と交流があり、それぞれ電化製品によって必要な電源(直流か交流か)が異なる

 ・乾電池やバッテリーなどは直流電源、発電機やコンセントは交流電源である

 ・コンピュータは直流電源で動作するため、コンセントから流れる交流電源を直流に変換する電源装置が必要である

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