メモリ内にある情報にアクセスするにはアドレスを使います
でも、メモリは有資源なので記憶できる容量に限界があります
容量の限界は、アドレス空間のキャパシティに比例しているよって、お話
あとメモリの役割についてちょっとだけ
最近覚える事が多くてよぉ・・・。仕事でも工場の稼動レーンが変わる毎に部品やら作業やらがコロコロかわって。 そんなにおぼえられねぇよ! |
そうっすよねー!オイラ達だって記憶のキャパシティってものがあるんすからっ! |
ほぉ、M君にキャパシティという言葉が出るとは思ってもみなかったですね。 |
俺の頭も補助記憶装置みたいに大容量なデータを蓄えられるようになりてぇな。 |
ハハハ 物覚えが良くても記憶のアクセス速度が遅くなっちゃ意味がないっすけどねー!ハハハ |
まぁ、パソコンのメインメモリも無制限に搭載できるわけじゃないので、当然キャパシティがありますけどね。 |
え?そうなのか? この前、店長がRAMは沢山積めば積むだけ速くなるっていうから、際限なく拡張できるかと思ってたぜ。 |
ヒゲ先輩、スロットっすよ、スロット! 確かRAMをパソコンに拡張するにはメモリスロットの空きがないといけないんすよね? |
言いたいことは分かりますが・・・お二人とも大いに誤解をしていますね。 というかまだ、教えていなかっただけですが。 |
なんだなんだ?まだメモリに関して秘密があるのか!? |
気になるっすね! |
じゃあ、CPUのお話に入る前に先駆けて、少しRAM(ここでは主記憶装置を意味する)について、突っ込んだお話をしましょうか。 |
ICチップの構造 |
ぉ、おやじの口から「CPU」っていうのが出たぜ?これはCPUを教えて貰うまであと少しって事か? |
憧れっすもんね!CPUとか!(語句がかっこよくて |
まず、RAMに対するアクセス手段を見ていきましょう。 メモリICって見たことありますか?ムカデの様な形をしているのですが・・・。 こんなのです。 |
うーん・・・?どっかで見たような・・・。 |
映画の「ターミネーター2」で似たようなのが登場してきたっすね。 |
これら足みたいなピンにはちゃんと一本一本にと意味があるのです。 これらのピンは電源、アドレス信号、データ信号、制御信号といった情報のインタフェース(入出力部分)になるんです。 |
あぁ、ここからデータの読み書きを電気の「0と1」でやり取りをするんだな。 |
インタフェースって入出力部分って意味なんすか、なんかかっこいいっすね(特に語呂が |
で、先程の図にそれぞれの役割を記した図がこれです。(サンプル) |
VCCとかGNDとかまたいろいろ出てきたぞ・・・。 |
さぁ、オイラ達の頭メモリをフル回転っすよ! |
VCCとGNDは電源だと思ってください。正確に言うとGNDは「接地」と呼ばれるアースの様なものです。ここからメモリICに電気を与えます。 RDやらWDは制御信号をやり取りするピンです。RD(Read Data)は読み込み、WD(Write Data)は書き込みです。 |
RDに1を流すとデータを持ってこれるのか?WDだと書き込みが出来るって事だな。 |
メモリ内のデータは何処から送られてくるんすかね。 |
お二人ともいい流れで着いてきてますね。 メモリに対してデータを記憶させる場合は、WDに1を流し、覚えさせたいデータをD0〜D7に流します。 逆に読み取る場合は、RDに1を流すとD0〜D7から情報が送られてきます。 なので、D0〜D1はデータ信号用のピンになりますね。 |
このピンに電気で0と1をやり取りするって事は、全部でDのピンが8本だから・・・えーっと。 |
8個だから8ビットの記憶が出来るって事っすか?随分と少ないっすね! |
言いたいことは非常によく分かります。 確かにDピンが8個(0〜7)なので、一度にやり取りできるのは8ビットです。 ですが、記憶できる容量とはまた別ですね。 |
なんだなんだ、いっている事がよくわからねぇぞ。 |
なんかA0〜A9のピンが怪しいっすね! |
今日はM君が非常に冴えてますね(予定外に このAピンはアドレスをやり取りするピンです。 |
メモリアドレスとメモリセル |
アドレス?アドレスって、あの住所のアドレスか? |
メモリにアドレス・・・?ん・・・? |
RAMにはアドレスという概念があります。 RAMは、「メモリセル」という単位で数ビットの情報を覚えられる小さな小部屋を沢山持っています。 そのメモリセルには一つ一つアドレスが付いており、アドレスを指定する事で該当するメモリセル内の数ビットのデータを操作(読み書き)する事が出来ます。 まぁ、こういう仕組みだからこそ「ランダムアクセス」が可能なのですがね。 |
ランダムアクセス・・・確か好きなところに吹っ飛ばしてアクセスできるって奴か。 |
はじめから一つずつ探して目的のデータにアクセスするのが、「逐次アクセス」でしたね。 |
お二人ともご名答です。 先程の ピン1つに対して1ビットのデータを送れるので、一度に8ビットのアドレス情報を送ることが出来ます。 |
8ビットのアドレス情報・・・つまり8桁のアドレス情報って事でいいんだよな?俺、勘違いしてないよな? |
8桁って事は、いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・ |
8桁で間違いないですが、M君が数えているのは10進数ですよね。 ここでは0と1のやり取りなので、2進数でいう8桁です。 なので、このメモリICの持つアドレス範囲は 「 00 0000 0000 〜 11 1111 1111 」 となります。 はい!さてこのメモリICにはいくつのメモリセルがあるでしょうか! |
11 1111 1111が1023で、これに00 0000 0000を足して1,024個だろ |
はやっ!先輩はやっ!! |
そうです、つまりこのメモリICには「1,024のメモリセル」があります。 1,024より多いメモリセルを持ったところで、アドレスでそれ以上を指定する事が出来ません。 いわゆるキャパシティ(限界値)ってわけですね。 |
メモリアドレス空間 |
はっはぁ、Aピンの数によってメモリの容量が決まってくるって事か。 |
え、メモリセルが増えれば単純にメモリ容量も増えるって事っすか? |
そうとも限りません。 一般的に、そのメモリICのアドレスを示す範囲を「メモリアドレス空間」といいますが、これはあくまでも「メモリセルの数」を意味しているだけで、実際の容量は、そのメモリセル内にあるビット数分も関係してきます。 |
あぁ、なるほど。Dピンだな。 |
このメモリICにはDピンが8つあるっすから、メモリセル内には8ビット分の情報があるっていう認識でいっすかね? |
二人ともご名答です。・・・補講になると急に理解が早いですね。 なので、このメモリICは1,024*8bitで、8192bit・・・つまり1024byte=1KBの容量を持つ事になります。 |
メモリICの動作 |
1KB(キロバイト)な、わかった。 |
ははぁ、1KBって聞くと少ないように見えるっすけど、実際こんなメモリICでそんなに覚えられるんすねぇ。 |
大体のメモリのメモリセル内におけるビット数は8ビットですね。 ですが、パソコンなどのメモリはこうしたメモリICが複数個付いている「メモリモジュール」として扱っています。 では、今までの内容を踏まえてメモリICの動作についてみていきましょう。 |
RAMの役割 |
おぉ、今日はよくわかった気がするぜ! |
そうっすねー! でも、メモリの記憶うんたらとかはよくわかったんすけど・・・何か、こうメモリの立ち位置というか・・・なんすか、こうモヤモヤしたのがまだ残ってるんすけど。 |
多分それは主記憶装置がコンピュータの構成要素上、何の役に立っているかって事ではないですか? 冒頭でも、ヒゲ先輩がメモリ容量を増やすとパソコンが速くなるとか抜かしていましたが・・・。 |
あ、そうそう!店長がそんな事言ってたぜ。 |
メモリ増設って奴っすよね?オイラも家のパソコンのメモリを買うときに増設を薦められたっすよ。 |
CPUの時に、詳しく言いますがパソコンの速度というのはメモリを増やしたからといって速くならないですよ。 厳密に言うと、「メモリを増やすと効率が良くなる=パフォーマンスをフルに発揮できる→パソコンが速くなる」 になるので、結果的に言うと速くなるで合っているかもしれませんが・・・。 |
結果的に合ってるなら別にいいじゃねぇか!ぼけっ! |
ビクッ! |
ただ、メモリを増やせば速くなるという文句を鵜呑みにして増設をしても、メモリ以外でボトルネックがあれば当然速さは変わりません。 結果的に言うとCPUの性能がそのパソコンの「最大性能」であり、その性能をフルに発揮する為の一つの要素に「メモリ増設」があると思ってもらえれば・・・。 すべてはバランスですよ、バランス。 |
バランスって・・・どういう事だよっ!ああん? |
ビクッビクッ! |
主記憶装置はCPUの作業台だと思ってください。 作業台は広ければ広いだけ作業がしやすいですよね?資料を沢山広げられますよね? 狭いと使うたびにわざわざ引き出しから出し入れするから面倒ですよね? ここでいう引出しとは、補助記憶装置の事ですよ。 |
確かによ・・・俺の家にある机は狭くて、その上ゴミが沢山ちらかってて・・・確定申告を書くのが大変だったな・・・。 |
あ、オイラの机はめちゃんこ広いっすよっ!! |
と、まぁこのようにですね、いくら頭が良くても作業台が狭かったら最大パフォーマンスを発揮できないのです。 逆に、いくら作業台が広くてもM君のように頭が悪いと作業台をフル活用できないのでどっちみち最大パフォーマンスを発揮できないのです。 すべての要素がバランス良く組み合わさる事でベストな性能を発揮するんですよ。 |
今の例え・・・壮絶に理解した!! 店長ぶっころしてやる!! |
(二人ともあんまりっす・・・ぐすん |
・・・メモリ買わされた? |
電気屋の棚卸しのとき、店長が「2Gのメモリが3枚あるからセットで安く売ってあげるよ、これパソコンに増設すれば格段に速くなるよ」と言われた。 3万円で。 |
2Gが3枚・・・6Gっすか。すごいっすね・・・。 |
ヒゲ先輩のPCって、確か10年くらい前のでしたよね・・・? |
そうだよ、確かういんどうず・・・みー? |
うぃんどうず・・・みー? ME? えむいー? |
・・・。 |
増設の仕方が分からないからよ、店長に頼んだら断られたよ。5000円払うからっていってるのに・・・。 |
かわいそうっすね・・・。 マスター、少し励ましてあげてくださいよ・・・。 |
ハハハ うぃんどうず・みーて!! パフォーマンスを発揮出来る出来ないの前に、パソコンが古くてそもそもメモリをPCに「増設できない」っていう! だから「断られた」ですね! アハハハ |
・・・ |
マスター、鬼っすね・・・。 |
まぁ、いい勉強になったと思って・・・。 |
これ、クーリングオフできるかな・・・。 |
先輩、今日はのみましょ・・・?ね? |
はぁー、おかしい! 近年稀にみる珍獣ですね! アハハ |
今日のポイント
・RAMはメモリセルという小部屋に分かれていて、それぞれのセル内に数ビット分のデータを保持していてる
・メモリセルには一つ一つアドレスが付与されている
・RAMにアクセスするにはアドレスを指定する必要がある
・RAMはCPUの作業台で、広ければ広いだけ効率が上がる
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